夏の問題

(Q1)昨年の夏に日焼けしすぎて、シミが出来ました。今年は日焼けに注意しようと思っていますが、何かアドバイスはありませんか?

(Q2)夏バテはどうして越こるのですか? 教えて下さい。

(Q3)土用のうなぎは夏バテ防止に効果があるのですか?

(Q4)熱中症とはどんな病気ですか?

(Q5)クーラー病ってどんな病気ですか?















(Q1)昨年の夏に日焼けしすぎて、シミが出来ました。今年は日焼けに注意しようと思っていますが、何かアドバイスはありませんか?

(A1) シミができた人たちは、かつてスポーツや登山などで、真っ黒に日焼けしたことがあるとか、日焼けしそうな時にお化粧で保護しないでいたと話していることから、その一番の原因は日焼けであることがわかります。日常、肌の保護にあまり頓着しない男性や、手や顔は日に焼かないように注意していたという農家のお年寄りの首筋が、長年の日焼けで肌が硬くなって、深いシワができているのを見ても、日焼けが肌に良くないことは一目瞭然です。 日に焼けるとどうして色が黒くなるのかということですが、これは紫外線から皮膚を守るためにメラニン色素がたくさん作られ、しかもメラニンの色が濃くなるからなのです。サンスクリーン、UVカットや美白化粧品が、人気を集めていることからもわかるように、白い肌が好まれる時代です。サンスクリーンの効果は、SPF値で表示されています。例えばSPF10と表示されていれば、それは30分で日焼けする人を300分まで保護できることを示しています。日本の日照を考えれば、SPF15程度で充分だとされています。ただ、汗や水などで落ちてしまうので、1度塗ればそれで大丈夫というわけではありません。ときどき重ね塗りする必要がありますし、できればつば広の帽子や、日傘を併用した方がいいでしょう。そして、化粧品には 薬のような治療効果はないことをよく知った上で、外出時にはUVカット、美白化粧品での保護をしましょう。
 シミには、30代後半から主に両ほほ、鼻の下、額に色素沈着ができる、医学的には肝斑と呼ばれるものと、中年以降、主として顔面、手背(手の甲)にできる大小の褐色の色素斑から成る老人性色素斑があります。一方ソバカスは、遺伝によって現れてくる米粒大の褐色の色素沈着で、思春期ごろから目立ってきます。そのほかに、かぶれを繰り返しているうちに皮膚が黒くなってしまう黒皮症、あるいはナイロンタオルやブラシで皮膚をこすり過ぎることによって起こってくる摩擦黒皮症という病気があります。いずれの疾患も、紫外線によって色素沈着が目立ってくるので、紫外線を避けることが重要になってきます。これらの色素沈着を起こす疾患に対する治療は異なってきますので、まず皮膚科医を受診し、適確な診断を下してもらって下さい。
 シミの治療に使用されるのは、外用薬、内服薬の二種類です。外用薬はビタミンCの誘導体で、皮膚から吸収されやすい形になっています。天然のビタミンCは、皮膚から吸収されませんので。そのほかに、プラセンタエキス(胎盤エキス)、アルブチン、コウジ酸などがあります。内服薬は、ビタミンC、ビタミンE、止血剤の一種であるトラネキサム酸があります。紫外線を防御しながら、根気よく治療を続ければ、2〜3ヶ月後から効果があらわれてきます。最近注目されているものでは、老人性色素斑にビタミンAを使った軟膏があり、効果をあげています。黒皮症の治療では、原因となった因子を取り除くことから始めます。化粧品かぶれを繰り返している場合は、化粧を中止し、できるだけ皮膚を刺激しないようにします。治療には非常に根気を要し、2〜3年間掛かることが多いのですが、適切な治療と原因物質を除去すれば、必ずきれいな肌にもどりますので、皮膚科医の指導をきちんと受けましょう。




(Q2)夏バテはどうして越こるのですか? 教えて下さい。

(A2)夏バテは「なんとなく身体がだるい」「疲れやすい」「集中力がない」「頭痛」「不快感」といった症状が現われる夏限定の「慢性疲労のひとつ」です。私たちの身体の代謝は、体温が三六〜三七℃のときが最もスムーズに行われるため、暑くなり、体温が上昇すると汗をかいて体温を調節します。しかし汗をたくさんかき過ぎると水分不足やカルシウムやカリウムなど多種にわたるミネラルのバランスが崩れ、これが夏バテの症状を引き起こす第一の原因になるのです。第二には、暑さによる消化酵素の作用低下です。これにより栄養素の吸収が低下して、更に食欲不振と悪循環を起こします。ただし、現代人の夏バテは暑さからくるものだけでなく、冷房のきいた室内と暑い室外とを出たり入ったりすることに身体の調節機能がついていけなかったり、ダイエット志向による普段からの栄養不足も大きく影響していると考えられます。
 かぜは万病の元。そのかぜを、夏バテはいとも簡単に引き起こしてしまいます。そのメカニズムは..。夏バテにより胃腸の消化力が低下している上にさらに食欲が減退すると「微量栄養素欠乏症」になります。栄養素が行き届かない状態は、私たちの免疫力を低下させます。すると、怖いのが感染症です。かぜで済めばいいのですが、こじらせて肺炎になるとご年輩の方では生命とりになることも。また、いろいろなホルモンバランスも悪くなり、肌荒れ、生理不順などを引き起こすので、夏バテくらいなどとあなどれません。




(Q3)土用のうなぎは夏バテ防止に効果があるのですか?

(A3)昔からいわれている土用のうなぎの夏バテ予防。実は、理にかなっているのです。夏場に不足しがちな栄養成分はタンパク質、脂肪、ビタミン、ミネラルなどですが、うなぎにはこれらのほぼ全ての栄養素を含有し、不足しているのは食物繊維くらいというすぐれもの。特に夏バテの症状を悪化させるのはエネルギー代謝を円滑にするビタミンB1の不足です。この栄養素を多く含むうなぎは夏バテ予防にはもってこいなのです。ビタミンB1は夏場に特に摂取してほしい栄養素。豚肉などにも多く含まれているので、食卓でも積極的に取り入れたいものです。




(Q4)熱中症とはどんな病気ですか?

 今年は梅雨明けが遅く、夏が本当に来るのだろうかと心配していましたが、7月26日に梅雨明けしますと、当たり前ですが、毎日暑い日が続いております。8月5日の熊日新聞朝刊に「猛暑で熱中症相次ぐ 阿蘇、熊本市で4人搬送」と言う記事が載っていました。4日は熊本市で35,4度とこの夏一番の暑さを記録したそうで、中・高生四人が熱中症とみられる症状を訴え、病院に搬送されました。幸い四人とも軽症で済んでおりますが、この熱中症とはどんな病気なのでしょうか。

 熱中症とは高温な環境が原因となって発生する障害の総称です。熱虚脱/熱失神(日射病)、熱痙攣、熱疲労、熱射病などに分けられます。また最近は重症度に応じてT度(軽症)からV度(重症)に分ける分類も用いられます。日射病は軽症に入ります。  スポーツなどの運動をすると筋肉などから熱が発生し体温が上昇します。体温の上昇に伴い皮膚の血管が拡張し、そこを流れる血液の量が増えます。また汗も出て、余分な熱を身体の外に放散させます。これらの生理的しくみによって、体温はほぼ一定の範囲内に保たれます。ただし、高温の環境下では、これらの仕組みが正常に働かなくなることがあります。大量に汗が出ているのに水分を補給しないでいると、身体は脱水状態となり、体内を循環する血液の量は減って熱の放散が逆に減ってしまったりするのです。このような状態が熱中症なのです。それではそれぞれにつき少し説明しましょう。

@熱虚脱/熱失神  俗にいう日射病がこれにあたります。発汗による脱水や運動中の筋肉への水分貯留や下肢の浮腫のために、身体を循環する血液の量 が減少し、脳に血液を十分に送ることができず、一時的に脳の虚血状態を起こすことをいいます。朝礼などで直射日光の下で長時間立ったままでいたり、夏合宿などで高温の環境のなかで急激に運動した場合に失神したりするのがこれです。

A熱痙攣   運動中にたくさん汗をかいて水分を補給する際に、電解質を補給しないまま水分だけを摂取することでナトリウムの欠乏状態が生じ、それによって筋肉の痙攣が起きることがあります。高温多湿な環境での重労働や、春から秋にかけての競技中・練習中に起こることが知られています。とくに、夏場に長時間にわたる過酷なトレーニングやマラソンなどの競技を行いながら、水分を十分に補給していないと、生じる可能性は大です。発汗とともに、身体のあちこちの筋肉が痛みとともに痙攣するのが特徴です。

B熱疲労   大量の発汗や、不十分な水分補給、更には体調不良から下痢などを起こしている時にこの障害は起こりやすいとされています。皮膚は青白くてやや冷たく、体温は通常か若干上昇しています。喉が乾く、身体がだるいなどの症状の他、頭痛、めまい、吐き気なども訴えます。熱疲労は、熱射病の前段階ともいえます。この時点で異常に気づいて処置することが大事です。熱射病の事故防止につながるのです。

C熱射病  熱射病は、体温が放散されずに体内に蓄積され、身体の内部の体温(深部体温)が異常に上昇しているという極めて危険な状態です。体内の体温調節中枢機能に異常をきたし始めているため、自分で発汗して体温をさげようとすることができなくなります。このため、皮膚は赤くほてった状態で乾燥しています。熱疲労の症状に加えて、嘔吐や意識障害、意識喪失などを起こしたり、最終的に呼吸停止から死に至ることもあります。

 上記@ABの場合は、風通しの良い涼しい場所で足を高くし安静にさせます。気分が悪くなければスポーツドリンクなどを飲ませます。Cの場合は、同じく風通しの良い涼しい場所で頭を高くし安静にさせます。まず体を水で冷やし、首・腹・脇・足の付け根など、大きな動脈の部分を氷で冷やします。特にCの熱射病は、進行すると危険なので、体温が高く意識がもうろうとしている場合は、早めに救急車を呼んだほうが良いでしょう。





(Q5)クーラー病ってどんな病気ですか?

 クーラー病というのは、まさしくクーラーが原因の病気で、クーラーが登場する前にはありませんでした(当たり前ですね)。人間には、本来、環境適応能力が備わっており、暑い時には汗をかいて体温を下げようとします。ところが、冷房の効いた部屋と炎天下を出入りすると、血管は常に収縮と拡張をくりかえし、 血行が低下してしまい、その結果自律神経にも影響が出て、体温調節がおかしくなってしまう事があります。要するに自律神経失調症の状態になるのです。このような体の変調を総称して「クーラー病」と呼んでいます。

●クーラー病の主な症状  体の冷え、倦怠感、食欲不振、頭痛、腹痛、下痢、神経痛、生理不順 など

●クーラー病の原因  冷やし過ぎや冷風を直接体に受けたり、暑い屋外と冷房の効いた部屋と、温度差の激しいところの出入りの繰り返しによって、自律神経の失調が起こり、体の不調の原因となります。お年寄りや乳幼児は体温調節が苦手ですので、特に注意が必要です。

●クーラー病を予防するには
★クーラーの温度は27度前後  クーラーの温度は、外気温との差が5〜7度以内になるように設定し、真夏では27度前後にして、体を冷やし過ぎないようにしましょう。夜はかけっぱなしにせず、タイマーを使ったり、寝る前に寝室を冷やし、寝るときにはクーラーを切るようにしましょう。
★冷風を体に直接当てない  冷風を直接体に受けると、実際の温度よりも低く感じますので、吹き出し口の向きに注意しましょう。寒いときは上着を羽織るとか、足が冷えるときは靴下をはきましょう。
★赤ちゃんは高い場所に寝かせる  冷気は下にたまりやすいので、注意が必要です。
★血行を良くする  一日中、冷房のきいた部屋におらずに、時々外へ出て体を動かしましょう。また、寝る前に体をマッサージしたり、おふろにゆっくり入り、血行をよくすることも、クーラー病の予防に効果的です。